一発目‼︎‼︎

掴めそうで掴めない…あと少しで届きそうだけど、心がへし折れそうになる。そう言う時がたくさんある。

描いていたイメージが訪れるかどうかは分からないが、同じようなシチュエーションを作り出すのは比較的簡単だ。

掴めそうな、届きそうな、あと少しの時に自分を甘やかさない。それができるかどうかは最終周に入った時の自分次第なのだ。

混沌の如く荒れ狂い、入り乱れた轍。それを形成する悪夢のような泥。目視すべきはその悪魔のような路面ではなく次のコーナーである。
今日、僕は久しぶりに僕はレースを楽しめた。

東海シクロ一発目はIRCカップでした。春にあったアレコレで機材は一新され、言い訳の出来ない機材に。それとは裏腹に僕のモチベーションは低空飛行。いや、離陸できてもいなかったのだと思う。激減するモチベーションに反して、激増する体重。機材以外は最悪で始まった今回。マッドコンディションだと分かっているコース、試走に入るのをためらうのは言うまでもない。DNSするか悩むレベルの僕は尚更、コースインが嫌になる。

支度をして、久しぶりにジャージを着る。自分とこのジャージ。お気に入りのジャージ。気合いいれてデザインしたジャージ。袖を通したら不思議とヤル気が湧いてきた。「とりあえず試走、いっとくか」

やっぱりコースはマッドだった。昨日までの雨はシクロクロス的に最高のコンディションを作り上げてくれたのだ。頭では”ありがとうございます”って思っていたはずなのに、口から出たのは”拷問かよ”だった。どこで変換されたのかわからないけど。僕はそう呟いた。

ひたすら淡々とペダルを回し続けるコースセット。回さないと止まる。止まればさらに辛くなる。そんなコースだ。僕の右手人差し指はひたすらチェーンをカセットの内側へとgivenallを操作する。「今回は見せ場ないかー」って思ったら、現れたのはでっかいキャンバー。今度は頭で思っていた言葉がそのまま口から出た。”ありがとうございます!”ってね。周りのライダーがおっかなびっくりで下るソコに、僕はバニホで飛び込む。フル加速でそのあとのハードパックを走る時には口元は緩んでいた。

キャンバーで上がったテンションは、その後の迷路のようなコースレイアウトで削られていく。その先に見えるのは階段の登り。手前には自動車学校のようなS字セクション。確実にコースセッターはドSで間違いないだろう。

階段を上がり再び始まる平坦迷路。今回のコースで一番路面コンディションが悪いのは、階段を登った後、ゴールまでの区間で間違いないだろう。階段を登りバイクを押して飛び乗るまでの数歩が、まるで地獄に向かうようで一歩一歩が重い。気合いと根性でゴールを目指す…
試走からしばらくして、招集が始まった。僕がエントリーしているのはC4。ボトムクラスである。人数から3クラスになっていたが、僕の振り分けられたのはC4Bだ。数分後にはC4Cがスタートする。時間差による混走である。久しぶりのレースで緊張のバロメーターは当然のように振り切れ、確実に頭打ちした。しくじるとC4Cの人たちに食われる。まるで濃霧の中、白鯨を討伐に向かう某主人公のような気分だ。サポートしてくれる鬼はいないが、地龍の如く頼れるバイクには跨っている。

スタート前、Ruedaのボスが「カズーはホールショットだろ?」的な事を言っていた気がするが、気のせいだろう。うん。きっと気のせいだ。気のせい。

聞き慣れたykoくんの声がスタート10秒前を告げる。30分間の拷問が始まる…

「10秒前…」聞き慣れたあの声がカウントをはじめる。

9.8.7.6.5.4.3.2.1…スタート

求められたら答えたい僕は迷わずホールショットを狙いに行く。スタートグリッドから15m程先にあるゲートを先頭で通過した。先頭ではあったものの、他の2人のライダーと横並びで通過したのを覚えている。そう、ホールショットは失敗したのだ。最初のコーナーを曲がる頃には三番手についていた。

でも、今日の僕はそこで諦めなかった。「貯金はできた。あとはなるべく食い潰されないようにポジションをキープする」最初のコーナーを曲がり終える頃には今回の課題が決まった。

今回C4は4周回と決まっていた。それを聞いた時、僕が絶望したのは言うまでもない。なぜなら3周回だと信じてやまなかったからだ。

淡々とペダルを回し続け位置をキープしていると見えてきた。僕の好きなセクション、キャンバーだ。手前の舗装路に入った瞬間、視界が明るくなったような気分になる。キャンバーに近づくと前の2人が急激に減速しているのが見える。思わず口元が緩みつつ手前の登り返しをフロント上げつつ曲がる。そして来たるフル加速に向けてチェーンを外側へと僕の右手人差し指はgivenallを操作する。試走と同じくキャンバーにバニホで飛び込む。予定通りのフル加速である。またしても貯金を作る事に成功した。

淡々とペダルを回し、ポジションキープに勤めていると見えてくるのがあの階段である。本来階段を登るとそこにあるのは天国であると映画や小説で記憶していたはずだか、待ち受けるのは地獄である。試走から約4時間経った地獄は、さらに磨きをかけて僕を待っていた。別カテゴリーのレースでこねくり回されたそこには、メレンゲのようなふわふわの泥が芝生と適度にMIXされライダーたちの体力と気力をむしり取る魔の領域へと進化していたのだ。しっかりとトラクションをかけているはずのタイヤが元気にその場で空転する。そんな、まさに地獄絵図の中僕は「雨のシャンペリーもこんな感じなのかな…」なんて事を考えていた。

ゴールラインに近づくにつれ、オーディエンスも増える。むしり取られる気力を回復する唯一のエリアだ。そして元気に二周目に突入する。

キャンバーまでに数人に抜かれつつも、何とか先頭を確認できるポジションをキープしていた。またしてもキャンバーにバニホで飛び込み、削られた貯金を少しでも取り戻そうと努力する。後方から現れたライダーに抜かれたものの、冷静に張り付いて階段前のS字に入る時にイン側突いて潰した。階段を上がる足取りが少し軽くなったのは言うまでもない。

三周目に突入し、依然として先頭を確認できるポジションをキープしていた。が、ホームストレートを走っている時に「水分不足になったよ」と全身が脳に告げる。きっと、以前の僕だったらここで諦めていたと思う。しかし、今日の僕は違った。身体からのお知らせに、心は”知るか、まだいける”と答えた。

3回目のキャンバーにも嬉々としてバニホで飛び込んだ僕は後方から見覚えのあるジャージが迫ってくるのを確認した。ブチョーコーヒーのコウタ君だ。あっさりと抜かれた。練習量を考えれば当然だ。だけど、今日の僕は何か憑いていたのかコウタ君に張り付き三周目を終えた。

最終周。ゴールラインを通過したとたん、前を走っていた彼はスーパーチャージャーを使ったかのような加速で僕を引きちぎっていった。いやスーパーチャージャーどころか、NOSを使っていたと言う表現の方が正しい気がする。売り切れつつある体力や気力に身体も心も悲鳴を上げはじめるが、僕にはスーパーチャージャーもNOSも搭載されていない。あるのはサブコンのみ。”まだまだいける!”と、身体や心に誤情報を送り込み止まりそうな脚を酷使し続ける。

キャンバーには最後までバニホで飛び込んだ。ここだけは毎回元気だ。淡々と逃げていると後方から最後の追い込みをかけたライダーたちが来る。当然逃げる。いつもなら諦めてしまう僕だが、今日は最後まで心は死ななかった。

最後の階段。直前で抜いてきたライダーに張り付きながら駆け上がり飛び乗る。前のライダーがもたつき、危うくクラッシュしそうになるのをすんでで堪えた。その代償として、右ふくらはぎが攣った。「ここで終わるのか…」と脳が感じたその瞬間、サブコンが仕事をする”太ももまでは動くからまだいける”と。とっさに御堂筋くんの映像が見えた気がしたけど気のせいだろう。二回程ふくらはぎを拳で叩き前走者に食らいつく。もたついたせいで後方のライダーに並ばれてしまった。3人が同時にコーナーに入るも、冷静にライン取りして2人を潰す。

もうこの辺りになると記憶も曖昧である。オーディエンスの前、最も地獄絵図極まりないその区間を上半身のプッシュと共に最後のアタックをかける。Ruedaボスと思しき声が聞こえた辺りで1人抜いた気がした。

最後のコーナー。右後方に張り付いていたライダーがいるのは気づいていたが、ライン取りで潰した…はずだった。最終周は今までの細い切り替えしではなく、コーナー後はゴールラインへと直結する事を忘れていたのだ。僕の一瞬の脚の緩みを後方ライダーは見逃さず前輪をねじ込んでくる。とっさにライン潰しつつもがくも、抑えきれずタイヤ1個分前に出られてのゴールになってしまった。

結果はなんとかシングルリザルトだったと思う。もちろん悔しいんだけど、こんなに必死にレースやれたのは初年度のワイルドネイチャーで箱に乗った時以来じゃないかな?そが本当に嬉しく気持ちよかった。

こうして今年度のシクロクロス開幕戦は終わったのだ。


同じカテゴリの同じクラスに、同じジャージ着てきいる同い年のヤツが居るってのはいいもんだ。

次は11月のワイルドネイチャープラザか…また砂の悪夢を体感しに行くんだろうな。

今年のシクロクロス一発目は良いスタートをになったんじゃないかな?

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